ポンコツ人生に、救いの1冊
「発達障害当事者」鯉次郎
突然ですが鯉次郎は、ADHD(注意欠陥多動性障害)・不注意優勢型です。
いわゆる発達障害当事者の鯉次郎、社会に出てからは失敗ばっかりで怒られまくりました。
もう、心も身体もボロボロです。
そんなある日、1冊の本を手に取り、「これは役立つ良い本だな」と思いました。
それが「発達障害サバイバルガイド」(借金玉・著)です。
著者・借金玉さん
1985年生まれ。診断はADHD(注意欠如・多動症)の発達障害者。幼少期から社会適応ができず、紆余曲折を経て早稲田大学を卒業後、金融機関に就職。まったく仕事ができず逃走した後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも大失敗し、それから1年かけて「うつの底」を脱出。現在は営業マンとして働く。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』。
東洋経済オンラインより引用
note「借金玉」
X(旧ツイッター) @syakkin_dama
noteの料理ハックは、鯉次郎も参考にしております。
前作も読むとなおよい
「発達障害サバイバルガイド」には前作があります。
それが『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』です。
前作では、
- 仕事
- 人間関係
- 生活習慣
- 依存
- 生存
といったカテゴリーで、発達障害人としての辛い経験談や「あるある」やライフハックが書かれています。
「仕事」と、根源的な「生存」に特化して描かれた印象ですね。
それに対して今作「発達障害サバイバルガイド」は、生活全般にバランスよく守備範囲を広げていった感じでしょうか。
いずれも、とにかく「発達障害人が生き残る」ことを重視して書かれた力作です。
ぜひ読み比べてみてください。
本書のライフハックを一部ご紹介
鯉次郎が「是非とも参考にしたい」と思ったライフハックを、本書より抜粋してご紹介します。
【生活環境】設備投資をしよう!

食洗機
ADHDの先延ばし癖。台所にたまっていく汚れた皿。
「皿を洗う」ことへの先延ばし対策として、食洗機は有効です。
ベッド(マットレス)
無人島での本物のサバイバルでも、まず最初にするのは「寝床の確保」。
寝床が悪いと身体は一気に壊れます。壊れる前に対策を。
マットレスを買いましょう。
【お金】家計管理はクレジットカードで

家計簿をつければ節約につながりますが、発達障害人には無理難題な話です。
クレジットカードには明細がつき、これが家計簿代わりになります。
明細には事実が機械的に記録されるので、これが支出の傾向を見るのに便利なのです。
【習慣】決断疲れ対策に、メニューの固定化を

借金玉さんは、
- 毎週金曜日にはカレー
- 毎月第一日曜日には釣りかツーリング
というルーチンを持っています。
ルーチンを持っていれば、それを起点として生活にリズムが生まれてきます。
結果として、「何をするか決めなきゃいけない」決断コストが削減できます。
【在宅ワーク】仕事と生活の線引きを

何よりもまず「働かないイス」を1脚用意してください。
CHAP.4 在宅ワーク Hack18
在宅ワークの最大のデメリットは「オンとオフの欠如」。
リラックスチェアのようなものを用意して、このイスに座っている時は仕事のことを絶対に考えてはいけません。
そうすれば、休むべき時に休めて、オンオフの切り替えがうまく行きます。
【服】感覚過敏対策を
発達障害者の多くが、感覚過敏という問題を抱えています。
服選び(特に肌着)は、着心地重視でいきましょう。ファッション性は二の次三の次です。
「これだ!」と自分の感覚に合うものを見つけたら、洗濯忘れを想定して20〜30着は買いましょう。
【食事】自炊推奨

ラーメンやファストフードなどのジャンキーなものには依存性がありますが、そればっかりでは健康を損ねます。自炊していきましょう。
料理のメタ化
1.「おいしい料理=十分な量のうまみ+適切な塩分」
2.「調味料は風味をつけるもの、入れすぎてはいけない」
と借金玉さんは定義づけしています。
この2つをおさえておくことで、料理の味付けの応用ができます。
例えば、肉じゃがを「中華風」や「中東風」にアレンジすることもできます。
アレンジに重要なのが、
- 肉(牛、豚、鶏、羊)
- じゃがいも
- 野菜(にんじん、ネギ)
といった主要食材の組み合わせに加え、
- うまみ(かつおだし、鶏ガラスープ、昆布など)
- 塩分(塩)
- 風味(しょうゆ、みそ、オイスターソースなど)
- 甘味(砂糖、みりん、炒め玉ねぎなど)
といった味付けの基本を組み合わせることです。
じゃがいものようなたいていの味つけとよく合う食材の場合、ほぼすべての組み合わせがおいしく仕上がります。
CHAP.6 食事 Hack35
つまり、肉じゃがというひとつの料理をメタ的に理解できれば、韓国風だろうが中華風だろうが中東風だろうがあらゆる味つけの料理がつくれるのです。
これが「メタに覚える」ということの強みです。
【休息】休息と娯楽を軽視しないこと

休息
人生において最も重要なスケジュールは休息である
CHAP.7 休息
発達障害者は、休むのが苦手です。けれど人は休まなければ死んでしまいます。
休む技術をつけていきましょう。
「休日」を「日常のさまざまな帳尻を合わせる日」ではなく、100%「休息の日」として運用する必要があります。
「休む」ことは強い意志が必要で、「頑張る」は簡単でむしろ惰性なのです。
締切などが迫っていても、将来生きていたいならば、今休みましょう。
「休む」ことはベストではないにせよベターな判断です。
娯楽
「娯楽」、つまり楽しいことも必要です。
人は娯楽なしには生きられません。
むかし、大きな地震があって避難所生活となったとき、人々が食料や水の次に大事なものとして「ボードゲーム」を挙げました。
しかし、娯楽には注意が必要で、お酒やギャンブルにハマってしまうと人生は悪い方向に行きます。
できれば「自分は何もせず、ぼーっとしているだけで楽しめるコンテンツ」を、家の内外で最低1つずつ(合計2つ以上)作りましょう。
↓借金玉さんが実例を挙げています。
【家の外】
- サウナ
- コーヒーのおいしい喫茶店
- 行きつけのマッサージ店
- シーシャ(水煙草)バー
【自宅】
- 映画・アニメ
- 読むのが脳の負担にならない本
ヨガ・筋トレ・創作・キャンプなどは「脳や身体を能動的に使う行動」なので、(リフレッシュとしては成立しますが)休息ではありません。
ここはぐっと意識を下げて、完全な休日を実現してください。
CHAP.7 休息 Hack39
【うつ】じっと待つことも大事

今、「うつの底」にいるあなたへ
何もするな、この本も読むな
CHAP8. うつ Special Hack
ここまで本書では、「こうしたほうがいいよ」というライフハックが書かれてきました。
しかし、うつの底という本当に厳しい状況でやるべきことは、「何もしない」あるいは「横たわって眠る」ということです。
「うつの底」は例えるなら、吹雪の吹き荒れる原野です。吹き去るのをじっと待ちましょう。
それが、堅実で確かな選択です。自分を責めないでください。
すべては、吹雪がやんで青い空が見えてから。うつの底を抜け出してからです。
CHAP 8.うつ Special Hack
そして、そしていつかどこかで、それはきっと暖かな昼下がりで、いろいろあったけどなんとかなった、
そんな話をしましょう。
以上、ピックアップさせていただきました。
本ブログでは紹介しきれませんでしたが、他にも多種多様なライフハックが紹介されております。
感想
本書の良い点
- 衣食住・お金・休息・うつといった幅広いカテゴリーにわたり、具体的に「こうしたら良い」というライフハックが網羅的に紹介されています。
- 著者自身の尋常でない努力。そして多くの苦労に基づいた、発達障害者への「共に生き抜いていこう」という優しさが感じられました。
やっていきましょう
借金玉さんの姿勢として「いいな」と思うのが、「やっていきましょう」という姿勢。
たしかに「死ねばいいや」というマインドの時期が存在していましたが、
生き残るために試行錯誤し、最大限の努力をされてきたことが伝わります。
これには鯉次郎、自分に重なる部分があります。
定型発達人が当たり前にできることでも、発達障害人にとっては相当な労力が必要なのです。
やってみて、損することはない
本書のライフハックを、そのまま実践して上手くいくかどうかは、やってみないと分かりません。
どうせ現状うまくいっていないのだから、やってみてこれ以上損することはないはずです。
自分なりにアレンジするのは良いと思います。
例えば、家計管理。
鯉次郎はクレジットカード情報をマネーフォワードMEに紐づけて一括管理しています。
自罰、自己否定はやめよう
本書「おわりに」の以下のくだりに、鯉次郎は大いに感銘を受けました。
本当にありふれた安い言葉ですが、それでもあなたはあなたのままでいいと僕は思います。
あなたが変わるべきだと、僕は決して思いません。あなたのやり方やあなたの道具、あなたの環境を変えるべきなのです。
おわりに 本当のあなたを「ハックするな」より
人生がうまくいかないとどうしても発生してくる自罰的感情、
「自分が悪いのだ、自分が根本的に変わらなければならないのだ」
というあれは、あなたを救いません。
自己否定は、発達障害者を幸せにしません。自己肯定感をこれ以上減らすことはないのです。
鯉次郎が世の中に思うこと
少しでも生き残る確率を増やせるように、工夫するところはしたらいいと思います。
その上で、鯉次郎は以下のように思います。
働けてるだけでもあなたは十分えらいし、今働けてなくても生きたっていい。
もっと人に優しい世の中になって欲しい。
ポンコツな鯉次郎も、自分を責めるのはもう辞めたい。
まとめ
- 著者の借金玉さんがさまざまな失敗経験から得たライフハックが、本書には詰まっている。
- 衣食住・お金・休息・うつといった幅広いカテゴリーのライフハックはためになる。
- 本書のライフハックをとにかく「やっていきましょう」。自分なりにアレンジしても良いと思う。
- うつの底の時は何もしない。じっと吹雪が去るのを待ちましょう。
- 優しい世の中になって欲しいし、自罰や自己否定はもう辞めたい。
不器用でも、共に生き残りましょう!